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未来のメタル

BABYMETAL

読者諸兄、こんにちは、そして、今週号へようこそ。BABYMETALを初めて表紙の主役に迎えたことを嬉しく思っている。我々の雑誌が、その始まりから愛してきたひとつのバンド、その彼女たちがここに至るまでの歳月を思うと、感無量なのだ。思いかえせば2年と少し前、3人の女の子(それと、たぶん、薄い影のような狐神)が、見たこともないような大きなテレビクルー*1を引き連れて、我々のオフィスを訪ねてきた。とても興奮した感じで、3人の女の子は私に近づいてきた。そのとき、私は壁一面に貼られたKerrangの表紙の複製の前に立っていたのだ。彼女たちは壁を指差し、ユニゾンで声をあげた。「私たちも、ここに載りたい!」。何はともあれ、君たちはそれをやったんだよ、女の子たち!


Kerrang!1648号編集長短信より


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この記事を書いたのは、Nick Ruskell、去年のReadingのときにBABYMETALにインタビューした男だ。Kerrang!の副編集長らしい。YouTubeのビデオの中で、彼はギミチョコの振り付けを習っている。今度のインタビューで彼は、このときのことを3人にからかわれたらしい。記事中で恨み言を言っているのだが、なんだか仲の良さを自慢しているようだ。

BABYMETALの3人の恐ろしいところは、インタビューされた相手を骨の髄まで魅了してしまうところだ*2。あの強面の大女、Kim Kellyでさえ、すっかり骨抜きにされてしまった。彼女に比べれば、Ruskell君なんていたってチョロいもので、Readingの時から既に顔が赤かった。

(以下の記事中、記事が長いため、私の勝ってで小見出しをつけた)

「未来のメタル」 Kerrang! 1648号カバーストーリー

Nick Ruskell著 / 2016年12月3日

BABYMETALは、既にメタルの地図を塗り替えてしまった。しかし、2016年という想像を越えた大きな年を経た後においても、彼女たちの未来は謎に包まれたままである。Nick Ruskellは、狐神の次なる予言を求めて日本へと向かう。

東京ドームとWembley Arena

あなたが東京ドームへ行ったことが無いのなら、地球上のどの会場とも、それが似ても似つかないものであることを断言しよう。満員になると55000人を収容できるのだが、単なる数字以上のものが、そこにはある。音楽以外にも野球のために使用され、巨大な構造物の屋根は、金属ではなく強靭な布で出来ていて、それを空気で持ち上げている。つまり、内気圧を一定に保つことで、屋根が落ちるのを防いでいるのだ。梁の上から見下ろしたら、蟻の群れを見ているように感じるだろう。ステージの前から見たら、今度は自分が蟻になったように感じるだろう。ここは、現実とは思えない、とてつもない巨大さを感じるように設計された場所なのだ。

9月19日、ステージが始まるまであと何分かという時間になっても、BABYMETALのメンバーたちは、まだ、これから始まることがいったい何なのか、それを理解しようと努めていた。彼女たちはまもなく、二夜に渉るほとんど前代未聞の偉業を、全精力をかけて成し遂げるのだ。

「前の日に会場へ行って、それを見上げたら、とても緊張してしまったの。それが、ショーが始まるまでずっと」。YUIMETALが今日、つまり、K!が彼女と彼女のバンドに最後に会った日に、思い起こしている。「心臓がドキドキしてきて。その状態を緊張という言葉で表わすのどうか、よく分からないんだけど」。

MOAMETALの場合は、「そこで演るときのことばかり考えてしまって、時々眠れなかったの。気持ちを落ち着かせようとはしたんだけど、でも体が緊張してしまって」。MOAMETALは、Exileという日本のバンドを観に、そこへ行ったことがあるのだが、YUIMETALとSU-METALは、Perfumeというガールバンドをそこで観たことがあるだけだ。PerfumeはYUIMETALに、ステージに上がったら、会場に「吸い込まれ」てしまうかもと言った。その予言は、完全に正しかった。

「自分の存在がいかに小さいか、分かったの。飲み込まれてしまうかと思った」。

しかし、その夜は、会場に巻き込まれることも、飲み込まれることも、消化されることもなかった。BABYMETALは飛翔したのだ。大きな売上になったセカンドアルバムMetal Resistanceをリリースし、SSE Arena Wembleyでヘッドラインした初めての日本人バンド(東京版Guns N' Rosesともいえる伝説のX Japanでさえ成し得なかった)にもなったこの年、その運命の日について、3人が一致して認めた三つのポイントがある。第一に、今年やった他のことはみんな、そのための予習みたいだったこと。第二に、神経をすり減らし、眠れない夜を過ごしたもあったが、狐神はそこで演ることを予言していたから、成功することに疑いがなかったこと。だが、最も大きくコードを鳴らすのが三つ目だ。

「(公演が決まる)前にはそこで公演することなんか考えてもいなかったし、(決まってからは)それが自分の終着点かなとも思っていたのに」とMOAMETALが振り返る。「だけど、ショーが終わったら、BABYMETALはもっと出来ると思ってしまってたの。これは始まりに過ぎないんだって」。

狐には、BABYMETALの世界には、もっと大きなものがあることが分かっている。それを信じ始めたら、どんなことでも起こりうるのだ...


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BABYMETALでなかったら

11月の東京。 BABYMETALが東京ドームで大勝利を収めてから6週間、このバンドがRed Hot Chili Pepperesのサポートのために、イギリスに戻ってくるまであと1ヶ月だ。数ヶ月に渉る緊張と重圧が消えさり、のんびりと朗らかな気分に入れ替わっている。東京のウルトラクールな渋谷(K!が見たことを報告するよ。なんと、マリオカートが通りを走ってたんだ)から、ほど近い写真スタジオで、もう5時間ほども過ごしているのだが、そこはまだ、楽しいくつろいだ雰囲気に満ちている。メンバーが、ひとりずつ、座ってKerrang!と話をする。質問が日本語に訳され、バンドが答え、そこから選択された答えが英語に訳されるという、このちょっとクソ面倒臭いやりかたさえ、そよ風のように感じられる。このバンドとこんな風に ー 長時間、くだけた雰囲気で ー 話をするというのは、ジャーナリストにとっては滅多に与えられない機会だ。YUIMETAL、MOAMETAL、そして、SU-METALのことを、もう少し知るためには絶好の場である。

影響力があって、みんなに注目されるバンドにとって(正直な所、ヨーロッパやアメリカでは大きなカルト教団のように見られているが、日本ではBABYMETALは一面を張れる、第一級のスターで、キリストより大きい存在だ*3)、3人が外に出て行くなんてことは、ある訳がない。そこへ、MOAMETALが、とんでもないことを言い出した。

「私は人前に出ても、絶対に気づかれないわ」と彼女がにっこりする。「本当は、時々気づいてほしいと思うこともあるわ。そうなったらクールだと思うんだけど、その反面、気付かれない方がクールだとも思うの。外でお腹いっぱい食べているところを誰かに見られて、私がMOAMETALだとバレたりしたら、たぶん、とても恥ずかしい!」*4

ステージ上でMOAMETALとしての私を披露すること、つまり、このバンドを通じて公的な私を持てるということは、とてもクールなの。それは、人にどう見られるかを自分でコントロールできるということだがら、と彼女が言う。といっても、BABYMETALモードに入るのは、そんなに難しくはないんだよ。お面を被るより、顔の表情を変えるほうが*5

「ちょっと複雑なんだけど、だって、ステージ上のMOAMETALとふつうの私は、同じ人間なんだから」と彼女は説明する。「だから、どっちがどっちと言うのは難しいんだけど、ひとつだけ私にも分かることは、BABYMETALは3人が一緒にいるから特別なんだってこと。もし私ひとりでやったら、こんなことは起こらなかったし、私たちがこんなことを出来るようになることもなかった。SU-METALとYUIMETALに出会ったことは、とてもたくさんのことを私にもたらしてくれたし、いろんな人に出会う機会を与えてくれたんだ」。

狐神が彼女をロックスター(杓子定規に言えば、この言葉はBABYMETALの多彩な活動を表すには適当な言葉ではない)に選ばなかったら、彼女は何をしてるのだろうかと尋ねたら、たぶん「公園で走り回って、子供のように遊んでいる」と彼女は答える。同じ仮想的世界では、SU-METALは歌っている(「私は歌うことが大好きだから、やはり街のどこかで歌っているでしょう」と彼女は言う)。YUMIETALの場合は、たぶん普通の高校に通っていて「演劇に興味を持っているかも」と言う。

しかし、それはやはり、仮想的世界のことに過ぎないのだ。BABYMETALの3人は、狐神にこれを成すべく選ばれてしまったのだから。ああ、狐神。このBABYMETALの物語に不可欠なものをご存知ない人たちのために言うと、狐神は、このバンドを作り、彼女たちの音楽を世界に広めるためにメンバーを選んだ。彼は、SU-METAL、YUMETAL、MOAMETALに(表にでないKOBAMETALにも ー 後述)、予言の形で指示を与える。彼はKerrang!の訪問に際しても、姿を見せず、正体を現すことがなかったのだが、BABYMETALをさらなる成功へと駆り立てているのは、他ならぬ彼なのだ。


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狐神の予言

「狐神の予言はいつもぶっ飛んでいて、想像を超えてるの」とSU-METALが言う。彼女はいま18歳だが、ホグワーツのフクロウのBABYMETAL版を受け取ったのは、彼女が12歳のとき*6だった。「目標が大きければ大きいほど、努力を重ねなければならないのだけど、結局はその目標を達成できる。だから、狐神がとんでもない予言と大きな目標を与えてくれることには、とっても感謝してる」。

「予言は想像を絶しているわ」とYUIMETALも認める。「とっても大きくて、いつもビックリするんだけど、やらなくちゃという気になるの」。

「狐神はいつも、ビックリするような時に予言を与えるんだけど、ある意味、楽しみにしているところもあるんだ」とMOAMETALが付け加える。彼女はYUIMETALと同じ17歳で、狐神に選ばれたのは13歳のときだった。「狐神はBABYMETALのことを何でも知っているし、私は、狐神が私たちの辿るべき道を分かっているんだと思う。私は狐神のことを信頼しているし、逆に狐神はBABYMETALのことを信頼してくれているとも思う。だから、やれないことなんて何もない。私たちは何でもやれるんだ」。

彼女がちょっと間を置く。

「だけど、もし狐神がお化けと一緒にライブをやれと言ってきたら、私は全力でいやだと言うわ」。

何で?

「だって、お化けが大嫌いなんだもの!」と彼女は笑う。「絶対いやだ!」。

SU-METAL、狐神にいやだと言わないの?

「言わない! ハハハ!」と彼女は答える。

この信仰は良く出来ている。BABYMETALの3人が、口をそろえて言うのは、狐神の予言はとんでも無い要求であることも多いが、彼の命令によって自信を植え付けられるのだということ。例えそれが、YUMETALの言う「想像を絶する」ように見えたとしても、彼は、このバンドが達成可能な挑戦を与えているだけなのだ。何故なら、それによって成長し、そこから学べる試練だけを、彼は与えているのだから。

「狐神はBABYMETALを信頼してくれていると思うんだ。だから、いつもやりがいのある高い目標を予言するんだよ」とSU-METALが説明する。「BABYMETALのファンもまた、狐神の次の予言を楽しみにしていると思うの。私たちが予言を与えられたとき、ファンも同時にそれを聞くんだもの。この前、東京ドームで公演することが予言されたときには、ファンと一緒だったの。だから、予言を聴いた後、その会場*7から次のステップへ進むことを、ファンも祝ってくれたんだ。狐神だけが私たちを前に押し、挑戦をさせているわけじゃなくて、ファンも私たちを支えてくれていると思うの」。

だが、狐神がBABYMETALを大きく変えようとしたら?彼は、そもそも、このバンドを産みだした神聖なる神なのだ ー 彼女たちは、彼があまりにも先へ行き過ぎることを心配しないのだろうか?例えば、ヒップホップのBABYMETALとか?例えば、Cannibal Corpseと一緒に7インチ*8のスプリットシングル*9を出すとか?

「大きく変えてしまうような予言を受けたら、面白いだろうな」とMOAMETALが考える。「どっちにしても、私たちが大きくなればなるほど、狐神の予言は大きな努力を要求することになるんだから。狐神が求めるなら、私は何でもやるよ。彼のことは信頼しているから」。

「予言として与えられたものは、何でも実現できると思うんだ。だって、メタルをやること自体が、私には初めてだったんだもの」とYUIMETALが説明する。最初は何でも初めてだったから、狐神が言ってくることには、いつも驚いていたの。今は分かるわ。彼が何かをやれと言うのなら、それをYUIMETALが出来るということなんだと」。

「全ては狐神次第なんだよ ー 全てね」とSU-METALが言う。「狐神がやれと言うのなら、私は何でもやるわよ。だけど、私は、狐神が信じていることは、私たちが信じていることなのだと思う。同じことなの。だから、私たちは彼が予言したことをやるだけなの。だけど、同時に、私には心のうちで大事にしていることがたくさんある。だから、狐神が私たちに本当に変われと言ってきたら、それは大きな問題になるわね!」

BABYMETALは、まだ誰も狐神に会ったことがない。もちろん、私たちもそうだ(会えるように頼んでみたが、無理だと言われた)。だが彼の信奉者であり、狐とメタルに関係することは何でもやる者としては、狐神がどんなものなのか尋ねざるを得ない。

「もちろん彼は狐みたいに決まってる」とMOAMETALが笑う。「だけど、思いやりのある狐、優しい狐なの。だって、彼のことを信頼してるんだもの。いつも難しくてやりがいのある予言と目標を与えてくれるところに、彼の愛を感じるの。日本では、狐は意地悪そうな目をしているんだけど、私は、彼が素敵な、美しい、優しい目をしていると思う。だけど、本当は彼に会いたいとは思わない。彼にはいつも神様であってほしいし、私の想像の世界にいてほしい」。

SU-METALは、もっと日常的な答えを持っている。

「狐神は絶対神のようなもので、上から見ていると思うの。だけど、同時に、彼がとても近くにいるようにも感じている。マスコットみたいにね。もしマスコット人形だったら、いつも持っていけるのにね。それなら、もっとお話できるのに」。

Rob Harlfordとの共演

BABYMETALに注目しているのは、決して狐神だけではない。このバンドは、2012年、Gimme Chocolate!!のバイラルなビデオで爆発してから、世間が認める正真正銘の著名人のファンを掴んできた。MadonnaからMetallica、さらにデスメタルの伝説Carcassに至るまで、皆がBABYMETALに「いいね!」を与えた。Lady Gagaに至っては、彼女たちをアメリカへ招待して、一緒に公演までやってしまった。

だが、我々は、ここでスターを取り上げるわけではない ー 神を取り上げるのだ。おそらく狐神と並んでも対等にやっていける唯ひとりの男、Judas PriestのフロントマンRob Halfordが、アメリカのあるアワードショーでバンドと同じステージに立ち、Priestの古典、PaikillerとBreaking The Lawを演ってしまった。狐神が君たちを信頼しているように、世界で最も偉大なメタルマンが、君たちを「いいね!」にふさわしいと見なしてくれたことが分かったのだ。これ以上ない後押しだ。

「Rob Halfordと共演すると聞かされたとき、一瞬、信じられなかった」とSU-METALが思い出す。彼女とビッグマンによるPaikillerのデュエットは、札付きのメタル戦士に嫉妬の涙を流させるのだ。「それに怖かったのは、演ろうとするのがJudas Priestの曲で、英語の曲だったこと。初めてのことが多すぎた。だけど、Robに会ったら、リラックスして楽しむように言ってくれたの」。

「メタルの神は、本当は優しくて思いやりのある人だと分かったの」、これはMOAMETALの回想だ。「Robと共演する前に、彼がブレスレットをプレゼントしてくれたの。何て暖かい人だと思ったわ。そんな風に彼が周りの人を気にかけているのが、とても印象に残った。私たちも彼に何かできたらなあ、そんな機会があればと思う*10」。

SU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALを感動させたように、Halfordは、BABYMETALチームの一人の男にも衝撃を与えた。KOBAMETAL、すなわち、全ての背後にいる中枢部、狐神の予言を形にする者、音楽を作り、全てを前へ前へと進める男に。あるヨーロッパのフェスティバルのステージ裏で会ったとき、RobのKOBAMETALへのアドバイスは、ただ「Stay Metal」。彼はステージに上がることはなく、写真に撮られることもなく、普段は影で差配するのだが、このアドバイスは彼の心に刻まれた。抗う余地の無いものとして。それは、まるで狐神の指示のように。

「私は狐神と話したことは無いんだよ」と彼は認める。「みんなと同じように予言を受けるんだ。狐神の言に沿って動くことに重圧が無いのかって?無いね。実のところ、それは彼の提案であって、君たちが思うほど大きな重圧があるわけじゃない。予言は僕が次にどんなステップに進むのか、それにどうアプローチするか、 その見通しを啓示しているんだ。だから、彼は次に何が起こるかを見ているわけではない。時々はそういうこともあるが、基本的にはそうじゃない。全てのことは起こるべくして起こるんだから。物事は往々にして驚きだ。例えば、メタルの神とコラボするなんてのも、このひとつだね。海外でMetallicaとかIron Maidenと共演するとか。夢みたいだけどね。分かるだろう、だけどそれを実現するのは簡単じゃない」。

しかし、それは、KOBAMETALがやらなければならないことなのだ。BABYMETALの成功には、もちろんSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの寄与が大きいのだが、ほとんど表に現れないとはいえ、音楽を作り、バンドが実現するべき展望と予言を与えるのは彼なのだ。彼は謙虚ではあるが、BABYMETALの成功に大きな誇りを抱いている。ちょっと、驚いてもいるのだが。

「初の日本人アーティストとしてWembleyで公演したことは、ひとつの到達点だと決めていたことなんだ。それに到達したら、次は何を起こすかを考え始める」と彼は説明する。「東京ドームの場合もそうだ。いまの時代の日本で、メタルアーティストがここで2日間を売り切るなんてことは滅多にないことなんだ。新アルバムのMetal Resistanceは、UKチャートでトップ15に入ったが、それは日本人アーティストとしては初めてのことだった。僕は、いつも、新しい歴史を作ること、そのための展望を考えている。展望を持って、それを実行する、そのために注力する、それが全てなんだ」。

希望の未来、伝説

去年のReadingフェスティバルのとき、BABYMETALがKerrang!の記者*11ダンスルーチンを教えたことがあって、彼女たちがそれを思い出して笑うのには困りものだが、多くの人が知っているのとは違った面を、そこに見出すことが出来る。もっと言えば、彼女たちのようなバンドは他には無い。複雑さが高じると裏と表が似通ってくるようなもので ー なんと言っても狐に啓示を受けているバンドなんだから ー 彼女たちの望みも、詰まるところ単純で世界共通なものに帰着する。つまり成功すること。狐神が次に用意しているものが何であれ、それがKOBAMETALの最大の夢をさえ超えてしまうかも知れない。

「初めての日本人アーティストとしてWembleyで公演したことは、大きな出来事だったわ」とSU-METALが言う。「東京ドームの公演の後で思ったのは、日本のバンドがやっていない新しいことをやらなければならないということ」。

「BABYMETALにとって大事なことは、挑戦し続けること」とKOBAMETALが言う。「多くの伝説がある。例えば、Iron Maiden。だけど、彼らは踊れない。大事なことは、常にオンリーワンであることだ」。

「東京ドームで演ったとき思ったの。これは終わりじゃない、始まりなんだって」とYUMETALがまとめる。「私たちはまだ新しい予言を受け取ってないけど、もっと前へ進む自信がある。次には、もっと大きなことがやりたいな」。

それが果たして何なのか、狐神だけが確かに知っている。それが起きるとき、皆さんもそこに居たいと思うだろう。

あとがき

雑誌のカバーストーリーの翻訳を紹介するのは、結構、気を使う。それによって何の収入も得ていないとは言え、許諾を受けているわけではないから、気持ちは良くない。だから、せめて、雑誌の売上に貢献しようかと、イギリスのNEWSSTANDという雑誌販売サイトにおける、KERRANG!1648号の案内ページを10日間ほど掲載していた(BABYMETAL号が今週号でなくなったので、現在は削除した)。

Metal Hammerの例からして、KERRANGも届くまでに1ヶ月はかかるだろうと思っていたら、なんと10日ほどで着いてしまった。だから、当初は、BABYMETAL Newswireの転載記事をテクストに使おうかと思っていたのだが、雑誌から直接、文字を拾うことができた。

ところで、この記事は会話が多いのだが、訳文中の女の子たちの会話にいつもの「ですます調」を使っていない。それには2つの理由がある。ひとつは、来日記念盤を出した洒落に便乗したこと。30年ほど前の、女の子のロックバンドの来日インタビューのようなつもり*12。Ruskell君と友達同士のような会話にした。彼にしたら、BABYMETALと友達になりたい、あるいは既に友達だと思っているだろうから、彼の気持ちからしても、この方が似つかわしい。

もうひとつは、記事中にもあるが、彼女たちの発言が、「通訳」によってそのまま英語に訳されているのではないこと。あれでは、元の日本語の雰囲気がほとんど残っていないと思う。そのことを初めて知ったのは、Kim Kellyのインタビューを翻訳しようとしたときだ。あれは通訳というより要約だ。Kim Kellyは意地悪だから、通訳の言葉をそのまま載せてしまったのだ。おかげで、地の文の時は快調だったのに、会話になって急に嫌になってしまった。

Metal Resistanceの録音技師が言うには、彼女は5ヶ国語を喋れるそうだが、そのことと通訳の能力は違う。通訳には専門の技術がなければならない。素人のツアーコンダクターに通訳させるのは早く止めたほうが良いと思うのだが。

とは言え、通訳自体が要らなくなる方が早いかもしれない。RHCPのツアーでの、Su-metalの英語の流暢なこと。あの人は「t」をとても言いにくそうに発音するので、すぐに彼女だと分かったのだが、全然違っていた。9月あたりから英語圏の国で生活しているのではないか*13。私はボストンに留学中だと睨んでいるんだけどね。

それでは、良いお年を。

*1:一昨年の年末に放送されたドキュメンタリー

*2:たぶん、こういう面の担当は、バックシンガーの2人なのだろう。これが、プロフェッショナルのアイドルというものか

*3:まさか。そんなに知られているのかな

*4:大食漢の女の子を見て、気づいている人もいると思うのだが、BABYMETALのファンは優しいのだよ

*5:彼女の素顔の写真が高校のホームページに載っているとは。でも、見つけるやつがすごい。しかし、どこにでもいる女の子みたいで、食事中でもない限り、分からないかも知れないね。彼女の言う通り、表情の変化のせいなのか

*6:他のふたりが13歳のときで、彼女が12歳なのはおかしいと思うのだが、彼女に対してだけ、12歳のときに何らかの約束(またはプロジェクトの企画)が出来ていたのか?

*7:横浜アリーナ

*8:昔でいうEP盤

*9:シングル盤のスプリット盤。共演ではなく、BABYMETALとCannibal Corpseの夫々の曲を収める

*10:それなら、メル友になってあげれば?きっと彼は喜ぶと思う

*11:この記者が著者本人だった。YouTube参照

*12:むかし、Go-Go'sというのがいたが、緩い感じが不思議によかった

*13:ときどき、来日するというわけだ

メタルからロック、そしてポップ

BABYMETAL

BABYMETALが掲載された次号については、ご注意ください。ご要望があまりにも多く、全てのご注文にお応えすることが出来かねる場合もあります (イギリスの雑誌販売サイトの、KERRANGのページに掲載された注釈)

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最近、BABYMETALがポップ化しているように感じている。ピーター・バラカンと同じくらい偏屈な、時代遅れの私たち*1だからそう思うのかも知れないが、RHCPなどというポップロックバンド*2の前座をやったり、アニメ化されたり。これで紅白歌合戦にまで出てしまったらどうしようかと思っていた*3

上の写真をよく見ていただきたい。「FACE TO FACE IN JAPAN WITH A ROCK PHENOMENON!」という文字がある。「A METAL PHENOMENON」ではない。

そう、メタルからロックに変わってしまったのだ。

もう売り切れ?

BABYMETALがKERRANG!12月3日号の表紙になった*4

この表紙は良い。とてもポップだ*5。ピンクの色調がBABYMETALにとても合っている。写真だけならアイドルと言われても否定できないぐらいだ*6

Redditに紹介されていたので、きのうNewsstandというサイトで注文した。今日になって、注文方法をこのブログで紹介しようかと思って、サイトを再び覗いてみたら、こんな表記が付加されていた。

「BABYMETALが掲載された次号については、ご注意ください。ご要望があまりにも多く、全てのご注文にお応えすることが出来かねる場合もあります ー 現在、入荷状況を確認中です。ご注文にお応えできない場合には、必ず返金いたします」

もう売り切れ? まだ発売されていないのに。そして、現在では、NewsstandのKERRANG販売ページは閉鎖されてしまった。次号の入荷の手配がつかなかったのかも知れない。今週号はまだ発売中だというのに。今週号の表紙であるAvenged Sevenfoldにとっては、いい迷惑だ。

BABYMETALがアイドルであるかどうかはともかくとして、少なくとも、アイドル並の人気であることは確かだ*7

蜜月の終わり

既報のように、Metal Hammerの編集長が変わった。Merlin Aldersladeは「僕はBABYMETALの音楽の大ファンではないが...」と言っている。「大ファン」というのは修辞的表現であって「BABYMETALの音楽には興味がない」という意味だ*8

雑誌というのは編集長のものだ。編集長の嗜好によって、雑誌は変わる。東京ドームをFrederic Leclercqの記事でお茶を濁したぐらいだから、今後、かつてのようにBABYMETALに入れ込むことはないだろう。蜜月は終わったのだ。

一購読者がどうこう言うことはない。Kim Kelly風に言うなら、「You do you」。Metal Hammerは君たちの道を行けば良い。私は定期購読を延長しないが、Metal Hammerの今後に注目しているよ*9

KERRANG!の戦略

KERRANG!の表紙が発表されて以来、「BABYMETALとメタルの危機」という過去の記事にアクセスする人が増えたようだ。当該記事は、Metal HammerがBABYMETALを重用することの裏にある戦略を分析したものだ。この記事の後、Metal Hammer 273号の表紙になることが判明したので、分析は結構、当たっていた。

それでは、今回、KERRANG側に戦略はあるのだろうか。まず、考えなければならないのは表紙の重要度である。月刊誌であるMetal Hammerは、1年間に13冊しか発行されない。そのMetal Hammerで、BABYMETALが1年間に2回も表紙になったことは、異例の厚遇である。

それに対して、KERRANGは週刊誌だから、毎年、50以上のバンドが表紙になる。だから、明らかに厚遇ではない。むしろ、BABYMETALの現在の立場からすれば、当たり前のことなのだ*10。驚くのなら、何のこともなくふつうに表紙になるという、このBABYMETALのステータスの変化に目をみはるべきだろう。

そうは言っても、副編集長を東京ドームに合わせて派遣するぐらいだから、KERRANGが商売を全く考えなかったわけでもない。

Metal Hammerは、2015年の発行部数が2011年に比べて60%以下に落ち込んでいるが、KERRANGの方も、やはり66%に落ちているのだ。当然、BABYMETALの人気はありがたい。9月のインタビュー記事をここまで引っ張ったのも、RHCPのツアーに合わせてのことだろう。BABYMETALの人気がメタルファンを越えて広がることを、KERRANGとしても期待しているに違いない。

BABYMETALは?

ちょっと寂しい気はするが、冒頭に述べたごとく、BABYMETALはポップを志向している。その過程で、Metal Hammerから、KERRANG!、あるいは、Alternative Pressのような、よりポップな雑誌に乗り換えて行くのだろう。おそらく、最終目標はアメリカ市場だ。

とりあえずは12月のグラミー賞ノミネートの発表が注目されるのだが、それよりも、Lady Gagaに連れられてスーパーボウルのハーフタイムショーに出るという、とんでもない噂がある。来年2月の可能性はほとんど無いだろうが*11、いつの日か実現してしまったら、東京オリンピックよりも衝撃は大きい。

このところ、株式会社アミューズの経営陣は無能さをさらけ出している。しょうもない副業に手を出すぐらいなら、もっと本業のマネージメント業務に集中しろ、と株主たちは考えている。それに比べて、小林啓という一介のヘビーメタルおたくが、冷徹に環境を見定めて、目標に向けて着実に歩んでいることは、とても興味深い。

株主たちは思っている。早く役員を交替した方が良いのではないか。もうそろそろ、女の子たちも独り立ちできるよ。

*1:最近、同じような仲間が出来た

*2:これは悪口です。ピーター・バラカンと同じくらい偏屈な私たちにとっては、80年代以降のロックバンドの多くがポップロックに聴こえるのだが、このバンドについては、特にそう思う

*3:グラミー賞云々のバンドが、いまさらローカルに活躍しなくてもね

*4:日本の記事で「ついに世界で最も売れているロック週刊誌の表紙になった」というような見出しがあった。KERRANGの平均発行部数は2015年で27667だから、同じイギリスの雑誌MOJOの3分の1ぐらいだ。KERRANGより売れている雑誌はたくさんある。だから、何を大袈裟なと思ったのだが、よく見れば「ロック雑誌」ではなく「ロック週刊誌」と書いてある。イギリスのNewsstandというサイトで買えるロック関係の雑誌リストには22種類の雑誌が掲載されているが、このうち週刊誌はKERRANG!だけだ。週刊誌は1冊しかないのだから、確かに「世界で最も売れている」ことに間違いはなさそうだ

*5:これは褒め言葉です

*6:明らかに最近の写真だから、東京ドームの翌日あたりに撮ったのだろう

*7:アイドルと言っても、イギリスのアイドルバンドのこと

*8:上の写真は、BABYMETALが最初にMetal Hammerの表紙になった273号のときの、Metal Hammer編集室だ。真ん中で雑誌を持っているのが、前編集長のAxexander Milas、その右側で座っているのが新編集長

*9:281号を除く平均発行部数が、20000部以下に落ち込まなければ(2015年は20961部)、新編集長の勝ちにしてやろう。18000部を割り込めば君の負けだ

*10:だから、「ついにKERRANGの表紙になった」などと雀躍歓喜するほどのことはない

*11:でも、早い方がいいね。ミュージシャンは見飽きたから、今度はTom Bradyとの記念写真はどうだろう。早くしないと、彼が引退してしまう

Frederic Leclercqのインタビュー

BABYMETAL

「3人とも大好きだよ。だけど、BABYMETALのファンたちは、僕が誰が好みなのかを、既に決めてしまったようだね*1」 (Frederic Leclercq)

インタビューというのは結構、難しいもので、インタビュワーの資質が、もろにインタビューの品質を決めてしまう。沈黙は金、雄弁は銀と言うが、インタビュワーは出来るだけ喋らない方が良い。もちろん、黙っていれば良いというものではないが、相手の言葉を引き出すことに専念するのが良いインタビュワーである。

ROCKIN’ON JAPANの6月号に載ったBABYMETALのインタビューには、Su-metalの興味深そうな話が出ているので、以前から読みたいと思っていた。英訳が出ているので大体のことは分かるのだが、やはり彼女の喋った言葉*2を、生で読みたいと思ったわけだ。この間、それをオークションで手に入れることができて読んでみたのだが、とにかくインタビュワーが喋りすぎている。ところによっては、彼女の答えの十倍は長く喋っている。

これは、BABYMETAL subredditの連中も同じ意見で、ほとんど誘導尋問じゃないかとか、女王様に対する敬意が足りないと言うやつもいた。聞きたいのはSu-metalの言葉であって、誰もお前の世界観なんか知りたくないというわけだ。英訳版を読んだ外国人がそう言うぐらいだから、これはチョットね。BABYMETALの場合は、日本語の記事であっても直ぐに英訳されるから、日本の恥をさらすようなことは出来るだけ避けてほしいものだ*3

それに比べると、以下に紹介するBABYMETAL Newswireのインタビュワーは大したものだ。非公式ファンサイトだから、おそらくプロではないと思うのだが、出しゃばることをせず、それでも、Frederic Leclercqの情報はきちんと調べている。BABYMETALのことだけ聞くというようなワガママはしない。Leclercqに十分な敬意をはらっている。結果として、Leclercqの人となりが表に現れて、素晴らしいインタビューになってしまった。

Newswire interviews BABYMETAL's friend Frederic Leclercq from Dragonforce!

2016ー10ー17

我々は、BABYMETALのファンであり、また彼女たちの親友でもあり、Sinsaenumのリーダーでもある、DragonForceのベーシストと話す機会を持つことが出来た。Newswireでは、Frederic Leclercqにインタビューできたのだ!オンライン化2周年のお祝いに、この素晴らしいインタビューを皆さんにお届け出来ることを嬉しく思う。楽しんでね!

Frederic Leclercqが、SinsaenumやBABYMETALとの出会いと共演について、Newswireに語る!

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Newswireでは、Frederic Leclercqが日本に滞在している間の、とても詰まったスケジュールの間を縫って、彼を捕まえることができた。このインタビューは、彼の日本滞在中、ならびに、彼がヨーロッパに戻った後に、eメールを使って行われた。彼が音楽を始めたころ、DragonForceでの活動、彼の新しいプロジェクトで6月にファーストアルバムをリリースしたSinsaenumについて、彼が語ったものである。Fredericはまた、「Road Of Resistance」の製作過程や、Download Festival 2015とMetal Hammer Golden Gods 2015におけるBABYMETALとの共演、東京ドーム、フランスや日本で何度も彼女たちと会ったこと、彼の好きなBABYMETALの曲、そして、彼の好きなBABYMETALのメンバーについても、語っている。

このインタビューを楽しんでほしい、できれば、あなたの印象や、FRED-METALことFredericへの言葉をコメント欄に書き込んでもらいたい、DEATH!!

幼少時代

Newswire: まず最初に、我々と話すために時間を割いてもらったことを感謝します。

DragonForceのウェブサイトでは、あなたは「マルチ」な人間だと紹介されていますね。とても才能にあふれ、3カ国を話すことができることに加えて、ほとんど全ての言語で、汚い単語をいくつか発することができる!ベース、ギター、キーボードを演奏できて、シンガーであり、プロデューサーであり作曲家でもある。音楽を始めるきっかけはどのようなものでしたか、そして、影響を受けたアイーティストは誰なのでしょう?

Frederic Leclercq: 僕の周りには、いつも音楽があったんだ。両親は音楽好きで、(プロではないが)ミュージシャンでもあった。だから、そうだね、音楽はいつも大切なものだった。僕の母は、僕がまだお腹の中にいるときからピアノを弾いていた。胎児は廻りの音を聴くことができるのだという記事かなんかを読んで、それは素晴らしいことだと思ったらしい。母は正しかったと思うよ。僕が、こんなに音楽と特別な関係になってしまったんだからね。小さいころは、数年間ピアノのレッスンを受けていた。その後、メタルを見つけ出して、エレキギターに転向したんだ。こんな音楽には、この楽器が一番だと思ったからね。

アーティストとしては、最初に聴いたメタルバンドはManowarだった。その後すぐに、Iron Maiden。感性ではなく、勉強としてなら...、メタルでは、Iron Maiden、Metallica、Morbid Angel、Pestilence、Slayerなんかの名前をあげるけどね。だけど、本当は、どんな音楽も感性なんだ。例えば、僕はビデオゲームやアニメが大好きなんだが、そこで聴く音楽からも大きな刺激をもらうんだ。また、ベートーベンやバルトーク、プログなら例えばUK(今朝も起きるとき、彼らの「Danger Money」が頭の中で鳴っていた)。他にも、Allan Holdsworthの大ファンでもあるし、80年代のディスコミュージックが大好きだし...、違った分野のものを、いっぱい聴いているよ。

Newswire: BABYMETALの女の子たちは、とても若いころから始めています。もちろん今でも、とても若いのですが。ところで、あなたの場合は、どうでしたか? 初めてライブをやったのは、いつでしたか? そのときのことを覚えていますか?

Frederic Leclercq: 最初に人前で演奏したのは、音楽学校のピアノの試験のときだった。全然、楽しくなかったけどね(笑い)。聴衆というのが、先生と親たちに他の生徒たちで、そもそも判定を下すためにそこにいるんだから、とんでもなく緊張したよ。教会でコーラスをしたことも覚えているよ、それも音楽学校の時だった。10歳ぐらいのときだったか、小さな劇場で劇を演ったのを覚えている。僕は酔っ払ったカウボーイで、何かそれらしいことをボソボソ言って、酒を飲んで、最後に床に倒れこむことになっていた。観客が笑ったんで、(ピアノの試験に比べればはるかに)楽しかったよ。

初めてのメタルのコンサートは、16の時だった。最高だったよ。本当に楽しかった。全く緊張しなかった、自分の力を出すことができたんだ。準備が出来ていたし、曲のことも分かっていたし、素晴らしい時間だった!

DragonForce

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Newswire: あなたは、2005年に北アメリカと日本で数回、DragonForceとしてのショーを演っていますね。DragonForceに参加したときは、どうでしたか?

Frederic Leclercq: 僕はHeavenlyというパワーメタルバンドに居たんだが、2000年頃、僕らの2回目のショーにHermanがやって来て、彼と会っているんだ(彼は、実際にはSymphony Xに会いに来たんだが、そのときはフェスティバルで僕らは前座をやっていた。そこで、彼と僕らが会ったんだ)。そのときに友達になって、それからずっと連絡は取っていた。

彼らがベース奏者に問題を抱えていたとき、僕に問い合わせがあった ー 実は、僕の名前を出したのはマネージャーだったんだが、「彼は確かに良いギター奏者だけど、ベースはダメだと言うだろう」と彼らは言っていたようだ。それでも、一応、Hermanが僕に連絡してきて、「やあ、ショーを3つ演るんだ。モントリオール、ニューヨーク、そして、日本。だけど、ベースがダメなんだ。君がやってくれないか?」。僕は思った。「どこも行ったことないよな。特に日本には、ずっと行きたいと夢見てきたからな。YESだな。やろう!」。それで、うまく行った! 実際には、ニューヨークのショーは特別で、ビザの問題で3人だけしか演奏できなかった。だから、CBGB*4では、会場で見つけたドラマーと一緒にバラードをひとつだけ演ったんだが...、それはそれは...、面白かった。

それから、2006年の1月に、DragonForceはヨーロッパツアーを行った。そのときは体が開いていたので、彼らが、よかったらまた一緒にやらないかと聞いてきた。実は、彼らは既に、正式な交替を視野に入れていたんだけどね。僕としては、何の問題もなくOKだった。それから一週間後、会場で夕食を取っていたとき、彼らが何か言いたそうだなと思っていたら...、言い出した。「それでと、ええと、このバンドに入らないか?」。強い調子でも何でもなく、ちょうど「いま何時?」みたいに。だから、僕も同じ調子で答えたんだ。「ああ、いいよ」。それだけだったよ!(笑い)。

Newswire: DragonForceは、日本と素晴らしい関係を保っていますね。日本で演奏するときは何が違いますか、そして、何故、あなたのバンドにとって特別なのでしょう?

Frederic Leclercq: 僕だけの気持ちを言うなら、僕は日本を愛している。それは秘密でも何でもない。言う機会があれば、クリアに答えることができる。ミュージシャンとしては、ここのファンは、とても配慮があって、優しくて、言ってみれば最高だね。ちょっとした贈り物を渡すために、待ってくれている。ショーでは、とても大きな反応があって、一緒に歌ってくれる。そうだね...、日本で演るときはいつも、素晴らしい時間になる。技術的に問題があったときでさえ、とても良い思い出になっている。だから、僕らはここで演るのが大好きなんだ、2倍楽しいというわけだ。

BABYMETALとの共演

Newswire: 日本について話しましょう。Herman Liによると、Sam Totmanと一緒にBABYMETALとのコラボを始めたのは2013年でしたね。HermanとSamが、他のメンバーにBABYMETALとのコラボを話したとき、あなたはどのように反応しましたか?

Frederic Leclercq: 僕は素晴らしいと思ったよ!! 僕は、そのときには既にBABYMETALのことは知っていたから、彼女たちとコラボするなんてすごいと思った。

Newswire: 初めて「Road Of Resistance」を聴いたときはどうでした?

Frederic Leclercq: 僕は、ハーモニーとかコードなんかでHermanとSamを手伝っていたから、デモ版は聴いていたんだ。だから、この曲のポテンシャルは良く分かっていた! とても素晴らしいサウンドになっていたので、そのときの反応というと、顔いっぱいに広がった笑顔、かな!

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Newswire: あなた方はBABYMETALと2度、共演していますね。最初はDownload Festival 2015で、BABYMETALはスペシャルゲストだった。それから、The Metal Hammer Golden Gods 2015では、「Road Of Resistance」と「Gimme Chocolate」を演った。BABYMETALと共演して、どうでしたか?

Frederic Leclercq: 最初のショーのDownloadでは、ちょっと神経質になっていた。それまで彼女たちとはリハーサルしていなかったからね。曲のことは勉強していたから、演奏についても問題なく分かっていた。だけど、なにしろBABYMETALには振り付けがあるから、「何をするのか、どこに立つのか」以上の問題があるからね。そうは言っても、後ろで一列に並ぶなんてことはしたくなかった。だから、ぶつかり合ったりしないように祈ったのさ(たぶん、狐神にね(笑い))。僕らは、ライブビデオをいくつか観て、彼女たちがどのように動くのかを調べていたんだ。でも、ショーの前に、彼女たちとそれについて話し合ったかどうかは、あまり確かじゃない。よく覚えていないんだ...、たぶん話をしたとは思うんだが*5

結局は、アクシデントもなく、とてもうまく行った。The Metal Hammer Golden Godsのときは、曲はもちろん、ステージ上でいつ何をするのかといったようなことまで、彼女たちとリハーサルする時間があったから、ずっとリラックスしていた。楽しい経験だった! 女の子たちはとてもプロフェッショナルで、彼女たちも僕らと一緒にやるのを楽しんでいるように思えた。ステージ上でもステージを降りてからも、みんな笑顔で、冗談を言い合っていたんだ。そう、皆が皆、楽しい経験だった。

Newswire: BABYMETALと共演したことについて、あなた方のファンからの反応はどうでしたか?

Frederic Leclercq: いつものことで、喜んでくれる人もいれば、批判的な人もいる。まあ、ほとんどのファンはコラボを楽しんでくれたと思うよ。一回だけのことなのに、「神よ、こんなものはパワーメタルではありません、ブラブラブラ」なんてのもいたが、大方は肯定的だった。両方のショーとも、とてもうまく行ったと思うね、ブーイングもなく、出て行く連中もいなかった。

このコラボをダメだと決めつける頑固なファンのことも、尊重はするよ。彼らが言いたいことも聞くけど、僕たちは僕たちのやりたいことをやったんだ ー いつもそうしてきたように ー だから、彼らにもこのことを尊重してほしいね。僕たちは素晴らしい時間を過ごしたし、ふたつのショーを観たほとんどの人々にとっても、それはやはり素晴らしい時間だったんだ! 皆が皆、肯定的な反応だった!

Sinsaenum

Newswire: あなたは今、新たなプロジェクトであるSinsaenumの宣伝活動を終えて、日本から戻る途中だと思います。Sinsaenumでは、あなたはギターを弾いていますね。その新プロジェクトについて教えてください。それと、SinsaenumとDragonForceの双方の将来設計についても、お願いします。

Frederic Leclercq: 今、ちょうど戻ったとこだよ。日本には残念なことに、たった一週間弱、居ただけだったんだ。いつも、本当に短い。Sinsaenumは、ずっとやりたかった。多くの人たちは知らないと思うけど、それは僕の性格の暗い方の一面を表しているんだ。僕には、ニコニコして、面白くて、社会的な側面があるからね。それは認めるよ。足にウンチ君の刺青をいれているから(他にもいくつか、鳥山明のキャラクターをいれている)、みんなはドクタースランプのプレゼントをくれる。それも僕だから、嬉んではいるよ。だけど、それは僕の一面に過ぎない。僕にはまた、とても暗くて、悲嘆にくれている、打ちひしがれた一面があるんだ。僕は、過激で暴力的な音楽が大好きだ。僕は、ホラー映画が大好きだ。僕は、人生をニヒリスティックに見ている。たぶん、僕には、そのことを音楽的に表現する道が必要なんだと思う。それが、Sinsaenumなんだ。たまたま、僕には、それを友人達と一緒にやることができるという特権があった。Joey Jordison、Attila Csihar、Stephane Buriez、Sean ZatorskyにHeimoth。みんな、とてつもない才能を持ったミュージシャンであり、それぞれが、メタルのジャンルで世間に認められた、とても有名なバンドで演っている、もしくは、演っていた連中だ。僕たちは、強い結びつきを持っている。僕が曲を提供したら(全ての音楽と歌詞については半分)、彼らは完全に理解してくれて、一万倍も素敵なものに仕上げてくれた。

アルバム「Echoes of the Tortured」は7月の終わりに出たんだが、一連のレビューはとても肯定的だった。これは、ブラックデスメタルなんだ。大衆に喜んでもらおうとしたものじゃない。みんながこれを好きか嫌いかは、全く問題じゃない。僕たちは、僕たちが好きなように作ったんだから。だけど、人々が分かってくれて、僕たちの表現したかったものを受け取ってくれるのなら、それは素晴らしいことだ。僕は、Sinsaenumを誇りにしている。僕たちは新曲もやっているけど、正直、ツアーは難しい。みんな、別のバンドで忙しいスケジュールがあるからね。だけど、ここで約束するよ。何とかして、日本に行くことを! 今回は、日本でのレーベルであるワードの連中と会うことができた。彼らのことを話せるのは嬉しいね。とても良いコラボなんだ。だから、日本には行くよ。今すぐじゃないが。みんなには待ってもらわなければならないが、そのときまでには、聴いてもらえる曲がたくさんできているはずだ。だけど、誓って、必ず行く。

DragonForceについては、新アルバムを作っているところだ。もう曲は出来ていて、レコーディング中なんだ。来年には出せるだろう。正確ではないが、2017年の前半には。それから、もし僕が忙しくなければ、Loudblast*6のベース奏者に成るよ。そのために、あのバンドとリハーサル中なんだ。僕は、ずっとあのバンドが大好きだったから、これはとても素敵なことなんだ(だから、Stephene*7がSinsaenumにいるというわけなんだ。彼は僕の親友のひとりで、初めて会ってから20年ぐらいになる)。それに、Massacraのトリビュートバンドもやっていたよ。Massacraは、フランスのデスメタルバンドで、1997年に活動を停止したんだが、そのころはビッグネームだった。だから、僕たちも彼らをトリビュートする*8というわけだ。フランス、それに僕にとっては、デスメタルの真のビッグネームだったので、その一翼を担えるのは、僕にとって本当に幸せなことだった。前に言ったように、どうも今という時は、僕にとっては、暗い方の一面を掘り起こす時期のようだ。だから、僕はいま、デスメタルブラックメタルをこれでもか、これでもかとやっている。そうするべきだと感じているんだ。

東京ドーム

Newswire: あなたが日本に居たとき、東京ドームのBABYMETAL公演に参加する機会があったわけですが、BABYMETALにとっての最大のショーは、実際どうでしたか? それと、女の子たちに会われたわけですが、どんな様子でした?

Frederic Leclercq: ショーは驚くばかりだったね。完璧な構成、何もかもが正確、訴えかけの強さ、最高の音、目を見張る光、そして、素晴らしいパーフォーマンス ー 言われていないけど、観衆も重要な役割を果たしていたんだ。僕は、X-Japanの東京ドームコンサート「The Last Live」を思い出したよ。観客の反応には鳥肌がたった。

女の子たちとは、The Golden Godsのショーの後も、何回か会ってるんだ。LoudParkで演ったときには挨拶に来てくれたし、彼女達のファンクラブ(THE ONE)の東京であったショーのときは、僕達が行った。6月には、パリで会いに行った(フランスのチーズを持っていく約束をしていたんだ)。いつも、彼女達と冗談を言い合うのを楽しみにしている。彼女達はスケジュールに忙殺されているし、今回は最高のショーのあとで、本当に全てを出し尽くした感じだった。二夜とも会ったんだが、クールだったよ。今度もチーズを持って行ったんだ。

Newswire: 東京ドームのBABYMETALについて、あなたはMetal Hammerにレビュー*9を書いていますが、神バンドを賞めていますね。彼らについては、どう思いますか?

Frederic Leclercq: 彼らは最高のミュージシャンだと思う。ギターとベースは、もちろん最高なんだが、ドラマーも卓越しているね。この4人に、もっと注目するべきだと思うよ。彼らは驚くべき技術を持っていて、ショーを完璧に支えていた。インストルメンタルパートでは、いつものように素晴らしかったし、シュレッドしていたね!!

好きな曲、好きなメンバー

Newswire: あなたは、BABYMETALの大ファンですよね。どんなファンでも、好きなメンバーを一人、好きな曲を一曲持っています。あなたが好きなBABYMETALのメンバーは誰ですか、BABYMETALの好きな曲は何ですか?

Frederic Leclercq: いつも言っているように、僕はファンというより友達だと思っているんだ。だけど、彼女たちのやっていることは大好きだよ。全体としてのコンセプトにも、すっかり魅了されている!

好きな曲を、あえて言うなら「Gimme Chocolate」だね。それには、いくつか理由がある。あれは、女の子たちと共演した最初の曲だ。それに、上田剛士には多くの点で敬意を抱いている。彼は、この曲で素晴らしい仕事をしている、コーラス部も大好きだし、曲全体がこのバンドをとてもよく表現している。BABYMETALとは何だと聞かれたらこの曲をどうぞ、みたいな、まっすぐで、強烈で、キャッチーで、可愛くて、面白い!

好きなメンバーだけど、3人とも大好きだよ。だけど、BABYMETALのファンたちは、僕が誰が好みなのかを、既に決めてしまったようだね(笑い)。

日本語

Newswire: 最後の質問です。最初にDragonForceのウェブサイトにふれましたが、あなたは3ヶ国語、フランス語と英語とドイツ語を話すそうですね。日本語は勉強していないのですか?

Frederic Leclercq: ...チョット。ニホンゴ ワカリマセン、ゴメンナサイ。ムズカシイ! この美しい言葉を勉強しようとしたことはあるんだけど、散々だった。本当に難しい。今度の日本滞在で、カラオケに行ったんだ(初めてだった!!)。ローマ字を読みながら、何曲か(北斗の拳ZiggyYMO)歌ったんだ。僕の発音は悪くなかったようだよ、まあ、友人たちが気を使ってくれたんだろうけどね。

だけど、単語とフレーズはいくつか知っているんだ、ひらがなも読めるし、かたかなも少し、漢字は忘れたけどね。日本に行ったときは、いつも、少しだけは新しいことを学ぼうとしているんだ。日本語を喋れたらいいなとは、本当に思うよ。

Newswire: 忙しいスケジュールの中で、我々の質問に答える時間を割いてもらって、ありがとうございました。ご親切には、心から感謝します。

Frederic Leclercq: ドウ イタシマシテ! インタビューしてくれたことを、あなたに、ドウモ アリガトウ! マタネ!!

あとがき

この訳文では、Leclercqの一人称に「僕」を使っている。ロックミュージシャンの場合は、よく「俺」を使うようだが、例えばBrian Mayが日本人なら「俺」を使ったのかと考えると、天文学の研究者でもある彼が「俺」を使うとは考えにくい。その人の社会的背景も良くわからないのに、かなり限定的要素を持つ「俺」を使うのは危険ではなかろうか。だから、私は通常、白色に近い「私」を使うのだが、Leclercqの場合は「僕」の方がぴったりくる。それほど彼は、「良い子」の雰囲気を持っている。

彼はインタビューの中で、彼の母が胎教のためにピアノを弾いていたというエピソードを披露しているが、その一節からだけでも、彼が両親から愛されて育ったことが伝わってくる。おそらく、音楽学校のピアノの試験のときも、両親が客席に座っていたのだろう。そんな彼が「悪い子」に育つわけがない。BABYMETALの女の子たちと仲が良いのも、「良い子」同士で気が合うのだろう。

そうは言っても、彼も男だから、心の内に凶暴さを秘めている。それが、彼の言う「暗い方の一面」なのだろうし、16歳の時にヘビーメタルをやり出したきっかけなのだろう。

と言うわけで、彼は現在、暗い面(ダークサイド)の気分らしい。インタビューでこれからのことを聞かれたときも、暗さがなくてスポーツみたいな、パワーメタルのDragonForceには少しふれただけ。あとは、ブラックメタルデスメタルの話ばかりだった。おかしいのは、Sinsaenumの宣伝で来日して、精一杯「悪い子」ぶらないといけないはずの彼が、BABYMETALにチーズのおみやげを持っていったり、カラオケで日本語の発音を褒められて喜んでいるところ。結局、彼は本質的に「良い子」なのだ。彼のダークサイドは、一面というより0.1面ぐらいなものだ。

彼のエピソードを読みながら気づいた。ヘビーメタルファンは、暗いカーテンを閉めきった部屋の中で、ローソクを灯して、ニヤニヤしながら大きなナイフをひたすら研いでいるような感覚なのではないかと。

だとすれば、BABYMETALが嫌われる理由がわかる。可愛い女の子が突然、窓から入ってきて、「おひさまが出ているよ、ピクニックに行こうよ」なんて言うようなものだからね。「ちょっと待ってくれ。折角、人が暗くなって楽しんでいるのに、何で君はじゃまするの?」というわけだ。

*1:もちろん、Moaのことです

*2:特に、モンスター云々のくだり。それに加えて、英訳版では彼女がとてもしっかりと話しているので、世間ではポンコツと言われる彼女の姿が、本当はどうなのかと知りたかった

*3:それに対して、女王様はりっぱなものだった。予想以上にしっかりとした、お言葉だった。誘導尋問に乗るように見せかけて、少し違うよという主張を通し、最後は自分の言いたいことを相手に納得させておられたのである

*4:1973年から2006年まで存在した、ニューヨークのライブハウス

*5:Metal Hammer 273号のカバーストーリーによると、Moaは、彼らがビデオまで調べてくれたことを聞いて、とても感動している。「今日聞いたんですが、Dragonforceはステージの感触をつかむために、私たちのツアーのビデオを研究していたんです。本当に『ああ、何て私たちのことを考えていてくれるの』という感じで、とっても感謝しています」

*6:フランスのメタルバンド

*7:Loudblastのギタリスト

*8:讃えること

*9:Frederic Leclercqの東京ドーム」参照