伊賀の無足人

実際には無足人と言っても、上位のものには扶持が与えられた。そして何よりも、彼らは土地を所有する農民(本百姓)でもあり、村では庄屋を兼ねるものも多い。また、誇り高き伊賀国人であり、文化的な人間である(伊賀ではないが同じ津藩の無足人山本平左衛門の日記が残っているが、彼は典型的な在郷の文化人であることが読み取れる)。松尾芭蕉が柘植出身の無足人の家系であるのは偶然ではない。古くから京都との関係が深い伊賀の国人は、京の文化の影響を強く受けた人たちである。

私のイメージする伊賀の無足人は、下士ではあるが貧しくはなく、誇り高く文化的な人々である。どうも、竹村武左衛門のイメージとは重ならないのである。