2月号のBABYMETAL

この人気が海を越えて結果を出すようなら、Babymetalは、2016年中に、メタルの世界とポップのメインストリームを征服する道程に乗ることだろう (Metal Hammer 279号の記事より)

Metal Hammerの2月号(279号)は、1月の初旬に発売されたのだが、BABYMETALの記事が10ページと11ページに載っている。これに加えて、かなり大きなBABYMETALのステッカーがおまけでついている。1ページ目は、セカンドアルバムとWembleyと東京ドームのふたつのコンサートに関する記事だ。内容的には、既に発表されている情報を、月間誌として改めて記事にしたようなもので、あまり新鮮味はない*1。2ページ目も、大部分が画像で、Wembleyのコンサートへの期待を文章にしたものが、ページの下部に少しだけ加えられている。「BABYMETALで大騒ぎ」で書いたように、編集長のAlexander Milasが横浜アリーナを観て、BABYMETALの関係者と接触したことは間違いない。だから、横浜アリーナのコンサートを記事にするのかと思っていたのだが、間に合わなかったのか、あるいは、彼の来日には別の、秘密の目的があったのか。

この記事の注目するべきは、2016年がBABYMETALにとっての試金石となる年であることを、強調しているところだ。世界のスーパースターになれるかどうかが、この1年にかかっていると言っているのだ。

それを見越して、私もMetal Hammerを定期購読することにした*2。Metal Hammerのために宣伝しておくと、45ポンドで、雑誌の13号分の送付に加えて、TeamRockサイトで有料記事を読むことのできる権限がつくので、お買い得ですよ。

表題の付け方

ところで、記事の表題について、説明しておきたい。最近、このブログはBABYMETALを主題にしている記事がほとんであり、読んでくれる人もBABYMETALのファンの人が大部分である。しかし、BABYMETALのファンが読んで面白いと思わないことを書きたい場合もある*3。そこで、ファンの方たちが読んで損したと思わないように、次のルールを作っている。

  1. カテゴリーがBABYMETALでない記事は、 BABYMETALにはほとんど関係がない
  2. 表題にBABYMETALが含まれないもの、あるいは、含まれていても先頭ではないもの(この記事のように)は、とても短い記事(例えばこれ)か、ファンにとって、それほど面白くない記事*4である[カテゴリーB]
  3. 表題がBABYMETALで始まる記事は、まあ面白いと思う記事である[カテゴリーA]

つまり、BABYMETALとの関係が薄いほど、検索エンジンに引っかかりにくくしているわけである*5

この記事は、カテゴリーBである。その理由のひとつは、Metal Hammerに翻訳の許可を受けているわけではないからである*6。なるべくMetal Hammerの宣伝をしますので、お目溢しを*7

以下、翻訳です。

あの狐が目覚める (p10)

http://i.imgur.com/6HGfGjY.jpg

Babymetalが、最新アルバムと過去最大となるふたつのショーを掲げて、2016年を狙い撃ちする!びっくりぽんや!*8

彼女たちは、この2年の間、この惑星上のどのバンドよりも意見を二分してきたが、今もそれは全く変わらない。2016年は、この日本の現象にとって、これまでで最も大事な年になる。彼女たちにとって過去最大となるふたつのショーと最新アルバムが、これから12ヶ月の間に計画されているのだ。

Babymetalのセカンドアルバムのニュースは、先月、17000人収容のYokohama Arenaにおける、2日間にわたるソールドアウトショーで発表された。真新しい新曲を3曲、公開したのに加えて、2014年に大成功を収めた同名タイトルのデビューアルバムの後継となるべき、新アルバムを2016年4月1日にリリースすることを発表したのだ。また、Babymetalは、光に導く全能の神、狐神に敬意を表して、その日を狐の日とすることを決定した。なんて、ずる賢いんだ、バットマン*9

「Babymetalのデビューアルバムを2014年にリリースして以来、僕たちはワールドツアーを名目に、地球全体を駆けまわって来た」バンドの親玉、Kobametalが言う。「ツアーを通して、私は世界中から来てくれた人々と出会い、Babymetalを媒介にして、皆がひとつになれるのだという、奇跡の瞬間を目の当たりしてきた。Babymetalの曲は、彼女たちが新しい可能性を拓くための、後押しであり続けるのだと信じている。いま私が言えることは、狐の日まで辛抱強く待っていてほしい、ということだけだ」。

Babymetalが上昇のうえに上昇を重ねてきたことは、メタルの世界に驚きをもたらした。様々な背景を持つ多くの音楽ファンが、続々と、この日本人クルーと、彼女たちのユニークで奇想天外な、圧倒的モダンメタルと黄色い声のJポップというブレンドを、暖かく迎えているようだ。そして、このバンドは、ロンドンのSSE Wembley Arenaで、彼女たちにとってイギリスでの最大となるショーを開催する予定だ。これは、2016年に最も話題になったアルバムとなるための、最後の仕上げになる。狂気の乱れ打ちのような2014年のBabymetalのアルバムは、ヘリウムガス入りのポップなサビから、ケツを破壊するようなEDMのバスドロップまで、その何から何までを、ウルトラモダンなメタルの嵐と合体させたものだった。それから察するに、第2弾も同じく、とんでもないものになるだろう。最も重要なことは、この新アルバムによって、一発屋だとか線香花火だとかいう見方に反論する機会を、Babymetalが得ることだ。母国日本においては、このバンドの上げ潮基調が衰える気配は全くない。Babymetalは、今年最後のショーを、55,000人収容の東京ドームで行うことを発表した。ここでは、The Rolling StonesMichael JacksonPaul McCartney、Kissなど、世界的に有名なバンドが過去に公演している。もし、この人気が海を越えて結果を出すようなら ー Wembleyの単独公演が、そのためのステップとなるだろう ー Babymetalは、2016年中に、メタルの世界とポップのメインストリームを征服する道程に乗ることだろう。もし、君たちが、彼女たちが消えてなくなるのを望んでいるのなら、このバンドの、これまでで最も壮大で長期にわたる襲来に、本気で備えておかないといけないよ。みんな、たいへんだね。

「多くの皆さんが次のアルバムを待ってくれていると信じています。だから、私はこのアルバム製作に全身全霊をかけるつもりです」、リードシンガーのSu-metalが言う。「来年、Wembley Arenaで海外のファンの皆さんと会えることを楽しみにしています。ちょうどその日は、セカンドアルバムのリリースの直後に当りますから、ほやほやの新曲を聴いていただけると思います。Wembley Arenaで公演することは、いまだに現実とは思えませんが、その夜を、皆さんにとっての特別な夜とすることが、来年の目標のひとつです。私たちは、数多の著名バンドが、この会場で公演したことを知っています。伝説となるものに一歩でも近づくためにも、Wembleyを必ず成功させたいと思います」

「私たちのいまの一番大きな夢は、新アルバムを出来るだけ、たくさんの皆さんに届けることです。それが、ひとりでも多くの人に、Babymetalを分かってもらうことにつながると思っています」、MoaMetal*10が付け加える。「ファンの皆さんの存在と、チームのサポートがあれば、私たち3人は、どんなことでも乗り越えられると信じています!」。

Babymetalは、まだ、ほんの始まりだ。気をつけろよ。

Gimme Rock Show! (p11)

http://i.imgur.com/uwoR4Mj.jpg

4月にWembleyで見たいもの4つ*11

燃え上がる棺桶
燃え上がる棺桶の中から3人が飛び出してくるところを、Wembleyで見られたら、とてもメタルだと思わないか?もちろん、100%の安全が確保されての話だが。火=メタル。
巨大な踊る狐
4月1日を狐の日とするというのなら、次の日に、巨大な、ずる賢い獣を踊らせることで、それを祝福しないといけない。いまから想像できるね。。。
空を舞うチョコレート
Gimme Chocolate!!が決定版のアンセムであるという事実は、やはり否定しようがない。だから、ものすごく大きなチョコレートが中空を舞うというのはどうだろう?やろうぜ!
ゲストのMetallica
想像していいかな?4人の騎士*12は、Babymetalのファンだと公言しているし、3人の方でも、関連商品とかステージの小道具*13で、彼らへのオマージュを表している。だから、あり得ない話じゃないよね?いいじゃないか!

あとがき

10ページの記事からは、セカンドアルバムに対するハードル(あるいは、期待)が、何かとても高くなってしまっているように感じられる。

もうひとつ、注目するのが「ポップのメインストリーム」という言葉だ。本来、Metal Hammerとしては、こんな言葉を敵視しているはずなのだが、ここでは、彼らはそれを容認している。彼らとしては、BABYMETALがメインストリームを征服し*14、そして、それに引っぱられて、彼らの音楽(メタルミュージック)が再び、メインストリームに橋頭堡を確保することを期待しているのではないか。

そんな大きな期待に答えられるのか、心配の種はつきない*15

*1:月刊誌としては、情報に新鮮味が欠けるのは仕方がない

*2:去年の暮れに申し込んだのに、279号は私のもとには届かない。TeamRockから確認の手紙が来て、雑誌の送付は3月分からだそうな。電子メールでなく手紙なのは、郵便の到着確認をしたのだろう。なかなか、しっかりした会社ではある

*3:ファンがどんな記事を読みたいのかについては、私も同様なので、良く分かる

*4:例えば、BABYMETALのことを扱っているが、賞賛しているわけではない英語記事の翻訳など

*5:SEOというわけですね

*6:サイトの記事より、雑誌の記事の方が、さらには、有料記事の方が、より後ろめたい。前記事などは、273号のカバーストーリーであり、最も後ろめたい。半年遅れにした理由のひとつでもある。それでもBABYMETALにとって重要な記事だから、カテゴリーAにした

*7:58.5ポンドの買い物をしているからね

*8:「Get hyped!」。このドラマは面白いね!

*9:「Holy vulpine, Batman!」 。ロビンの常套句をもじっている。「キツネだお、バットマン!」という訳も、ありかな

*10:TeamRockサイトの別の記事では「MaoMetal」となっていたので、「奴らはやっと反省したのか」とRedditで言われていた。毛沢東じゃないよ!

*11:この記事の意味が、もうひとつ良く分からない。アイドルか何かみたいに思っている?それとも、イギリス人は大掛かりなステージを好むのか?いずれにしても、金をかけろと言ってるよ、アミューズさん

*12:The Four Horsemen。Metallicaの曲。元ネタは「ヨハネの黙示録の四騎士」なのだろう

*13:むしろ大道具ではないの?

*14:具体的には、アルバムチャート(部門別ではなく)の上位になり、メタラー以外の普通の人々に認知されること

*15:バンドの皆さんは、アルバム作りにたいへんなのだろうが、待つ方も待つ方で、なかなかたいへんだ!