TeamRock Review of BABYMETAL's Metal Resistance

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Metal Resistanceは、史上最高のアルバムと言ってもいいだろう。10分の10かって?つけられるなら11にしたいね (TeamRockサイトのClassic Rock担当レビューから)

TeamRockサイトに、Metal Resistanceの何とも大袈裟なレビューが掲載された。著者は、「BABYMETALとClassic Rock」で紹介した「BABYMETAL: ロックの未来は、こうなってしまうのか?」を書いた、Classic RockのStephan Daltonである。

TeamRockサイトは、この間から様相が一新された。まだベータ版だそうで落ち着かないが、何となく彼らの意欲はわかる。アルバムレビューも、一月に4回ぐらいのペースで集中的にやるようで、Classic Rock、Prog、Metal Hammerの各誌、および、TeamRockサイト自身が代わる代わる担当するようだ。

Metal Resistanceのレビューは3月18日付けだったのだが、Metal HammerではなくClassic Rockの担当だった。たまたま、このアルバムのメディア向けプレリリースが、Metal Hammerが担当した3月1日の分に間に合わなかったのか、それとも別の理由があるのか。それはともかく、Classic Rockの2015年10月号に記事を書いたDalton記者に、お鉢がまわってきた。

Dalton記者は、以前の記事のなかで、「Babymetalにとっての次のレベルは、一発屋でないことを証明するための、しっかりとしたセカンドアルバムになるだろう」と書いている。その答えが、ここに出たわけだ。

Dalton記者の採点は、冒頭の通り。こちらが気恥ずかしくなる。

面白いのは、さすがClassic Rockの記者だけあって、BABYMETALの敵を「メタル純粋主義者」ではなく「ハードロック純粋主義者」と呼んでいること。さらに、BABYMETALを「企業が作ったポップロボット」と表現している。これは悪口ではなく*1、以前の記事でBABYMETALを相当に研究した、彼ならではの見方だ。

もうひとつ、特徴的なのが、この記事中に上げられた音楽ジャンル(サブジャンル)の名前らしきものが、

  • power-metal
  • electro-pop
  • nu metal
  • trip-hop
  • dubstep
  • thrash
  • jazz-metal
  • avant-punk gruntcore
  • boogie woogie

これだけあること*2。表現の多様性は、このレビューだけではない。他のレビューでも、「なになにコア」とつく表現を十個以上も集めたものがあった。つまり、それだけこのアルバムが音楽的に多様であることを示す証なのだろう。

このような音楽的多様性は、ひとつのバンドだけでは成し得ない。Dalton記者の言うように、「企業が作る」ものでなければならない。もちろん、この場合の「企業」とは、株式会社アミューズのことではなく、「小林啓となかまたち」、あるいは、記事中の表現である「BABYMETALの音楽チーム」のことを指している。

もし、Dalton記者が言うように、Metal Resistanceが「史上最高のアルバム」であるとするなら、これは、ロックアルバムの作成方法に、ある種の「企業化」をもたらす契機になるのかも知れない。但し、それは方法論のポップ化に他ならないわけで、純粋主義者がまた怒り出しそうだ。

私などは、作成過程が何であろうが、良いものであれば良い。でも、BABYMETALとブギウギなんて、どこでどうつながるのだろう?*3

以下はレビューの翻訳です。

Babymetal: Metal Resistance

Stephan Dalton著 / 2016-03-18 / Classic Rock

東京の年若きメタルセンセーションが送る、強力なセカンドアルバム

Babymetalは企業が作ったポップロボットなのか?それとも、ヘビーミュージックのこの千年間で*4、最も新鮮で最もエキサイティングなものなのか?答えは、どちらも、Yes。

日本の若き「カワイイメタル」センセーションは意見を二分する。しかし、このセカンドアルバムは、彼女たちの一流の音楽チームが、やることを正確に把握していると証明したものだ。壮大なスケールで作り上げられた、Metal Resistanceは、サウンドと憤怒がスーパーチャージされた怪物だ。東京を暴れまくるゴジラのように、ロックのジャンルと観念をめちゃくちゃにする。

既に去年から出ている、DragonForceとコラボしたRoad To Resonance*5は、ワーグナーみたいなパワーメタルのダイナミズム*6、キャンディーコートされたボーカル、印象的でブロードウェイショーみたいなコーラスを一緒くたにした過激に過ぎる調子のよさ。荘厳だ。

これを端緒に、Babymetalは全方向から攻め立てる。ニューメタルのストンプ、交響楽的オーケストレーション、凄まじく強力なシュレッド、トリップホップダブステップBrian May級のギターソロの上に、可愛さを強調したエレクトロポップを重畳化する。急展開だ、驚嘆だ。シロップ掛けされたパワーバラード、No Rain No Rainbowは、融けたスラッシュの袋が膨らんで破れそうになるも、決して破れない。Tale Of The Destiniesは、ジャズメタル*7と、アヴァンギャルドなパンクのグラントコア*8に、ブギウギピアノ*9を臆面もなくマッシュアップした実験だ。ほんとに尊敬するね*10。ハードロック純粋主義者たち、メモしとけよ:Babymetalの多次元宇宙*11は、君たちの狭小な哲学では夢にも思わないものなんだ。

時には圧倒し、いつもウキウキで、たまに顎が外れる。Metal Resistanceは、史上最高のアルバムと言ってもいいだろう。10分の10かって?つけられるなら11にしたいね。

*1:かたや「ヘビーミュージックの千年間で最もエキサイティング」なのだから

*2:音楽に名前をつけたくなる人間の性を示している

*3:これが本当なら、早く聴いてみたい

*4:千年ですよ。この前まで十年だったのに

*5:彼らは、以前にも曲名を間違えた。今度は修正しない

*6:原文はdynamicsだが、私には動力学としか思えないので

*7:そんなものがあるの?

*8:私には殆んど分からない。そもそも、グラントコアとグラインドコアの違いは何だ?知りたくもないが

*9:何でこんなものが登場するの?でも、これ最高だと思いませんか?ブギウギというのは、ジャズとブルースの境目みたいなところにあるもので、私の愛するLightnin' HopkinsにもLightnin's Boogieという曲がある

*10:全く、その通り

*11:Stephan Daltonは、物理/天文学科出身?'dynamics'、'Brian May'、'multi-dimensional universe'