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メタルからロック、そしてポップ

BABYMETAL

BABYMETALが掲載された次号については、ご注意ください。ご要望があまりにも多く、全てのご注文にお応えすることが出来かねる場合もあります (イギリスの雑誌販売サイトの、KERRANGのページに掲載された注釈)

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最近、BABYMETALがポップ化しているように感じている。ピーター・バラカンと同じくらい偏屈な、時代遅れの私たち*1だからそう思うのかも知れないが、RHCPなどというポップロックバンド*2の前座をやったり、アニメ化されたり。これで紅白歌合戦にまで出てしまったらどうしようかと思っていた*3

上の写真をよく見ていただきたい。「FACE TO FACE IN JAPAN WITH A ROCK PHENOMENON!」という文字がある。「A METAL PHENOMENON」ではない。

そう、メタルからロックに変わってしまったのだ。

もう売り切れ?

BABYMETALがKERRANG!12月3日号の表紙になった*4

この表紙は良い。とてもポップだ*5。ピンクの色調がBABYMETALにとても合っている。写真だけならアイドルと言われても否定できないぐらいだ*6

Redditに紹介されていたので、きのうNewsstandというサイトで注文した。今日になって、注文方法をこのブログで紹介しようかと思って、サイトを再び覗いてみたら、こんな表記が付加されていた。

「BABYMETALが掲載された次号については、ご注意ください。ご要望があまりにも多く、全てのご注文にお応えすることが出来かねる場合もあります ー 現在、入荷状況を確認中です。ご注文にお応えできない場合には、必ず返金いたします」

もう売り切れ? まだ発売されていないのに。そして、現在では、NewsstandのKERRANG販売ページは閉鎖されてしまった。次号の入荷の手配がつかなかったのかも知れない。今週号はまだ発売中だというのに。今週号の表紙であるAvenged Sevenfoldにとっては、いい迷惑だ。

BABYMETALがアイドルであるかどうかはともかくとして、少なくとも、アイドル並の人気であることは確かだ*7

蜜月の終わり

既報のように、Metal Hammerの編集長が変わった。Merlin Aldersladeは「僕はBABYMETALの音楽の大ファンではないが...」と言っている。「大ファン」というのは修辞的表現であって「BABYMETALの音楽には興味がない」という意味だ*8

雑誌というのは編集長のものだ。編集長の嗜好によって、雑誌は変わる。東京ドームをFrederic Leclercqの記事でお茶を濁したぐらいだから、今後、かつてのようにBABYMETALに入れ込むことはないだろう。蜜月は終わったのだ。

一購読者がどうこう言うことはない。Kim Kelly風に言うなら、「You do you」。Metal Hammerは君たちの道を行けば良い。私は定期購読を延長しないが、Metal Hammerの今後に注目しているよ*9

KERRANG!の戦略

KERRANG!の表紙が発表されて以来、「BABYMETALとメタルの危機」という過去の記事にアクセスする人が増えたようだ。当該記事は、Metal HammerがBABYMETALを重用することの裏にある戦略を分析したものだ。この記事の後、Metal Hammer 273号の表紙になることが判明したので、分析は結構、当たっていた。

それでは、今回、KERRANG側に戦略はあるのだろうか。まず、考えなければならないのは表紙の重要度である。月刊誌であるMetal Hammerは、1年間に13冊しか発行されない。そのMetal Hammerで、BABYMETALが1年間に2回も表紙になったことは、異例の厚遇である。

それに対して、KERRANGは週刊誌だから、毎年、50以上のバンドが表紙になる。だから、明らかに厚遇ではない。むしろ、BABYMETALの現在の立場からすれば、当たり前のことなのだ*10。驚くのなら、何のこともなくふつうに表紙になるという、このBABYMETALのステータスの変化に目をみはるべきだろう。

そうは言っても、副編集長を東京ドームに合わせて派遣するぐらいだから、KERRANGが商売を全く考えなかったわけでもない。

Metal Hammerは、2015年の発行部数が2011年に比べて60%以下に落ち込んでいるが、KERRANGの方も、やはり66%に落ちているのだ。当然、BABYMETALの人気はありがたい。9月のインタビュー記事をここまで引っ張ったのも、RHCPのツアーに合わせてのことだろう。BABYMETALの人気がメタルファンを越えて広がることを、KERRANGとしても期待しているに違いない。

BABYMETALは?

ちょっと寂しい気はするが、冒頭に述べたごとく、BABYMETALはポップを志向している。その過程で、Metal Hammerから、KERRANG!、あるいは、Alternative Pressのような、よりポップな雑誌に乗り換えて行くのだろう。おそらく、最終目標はアメリカ市場だ。

とりあえずは12月のグラミー賞ノミネートの発表が注目されるのだが、それよりも、Lady Gagaに連れられてスーパーボウルのハーフタイムショーに出るという、とんでもない噂がある。来年2月の可能性はほとんど無いだろうが*11、いつの日か実現してしまったら、東京オリンピックよりも衝撃は大きい。

このところ、株式会社アミューズの経営陣は無能さをさらけ出している。しょうもない副業に手を出すぐらいなら、もっと本業のマネージメント業務に集中しろ、と株主たちは考えている。それに比べて、小林啓という一介のヘビーメタルおたくが、冷徹に環境を見定めて、目標に向けて着実に歩んでいることは、とても興味深い。

株主たちは思っている。早く役員を交替した方が良いのではないか。もうそろそろ、女の子たちも独り立ちできるよ。

*1:最近、同じような仲間が出来た

*2:これは悪口です。ピーター・バラカンと同じくらい偏屈な私たちにとっては、80年代以降のロックバンドの多くがポップロックに聴こえるのだが、このバンドについては、特にそう思う

*3:グラミー賞云々のバンドが、いまさらローカルに活躍しなくてもね

*4:日本の記事で「ついに世界で最も売れているロック週刊誌の表紙になった」というような見出しがあった。KERRANGの平均発行部数は2015年で27667だから、同じイギリスの雑誌MOJOの3分の1ぐらいだ。KERRANGより売れている雑誌はたくさんある。だから、何を大袈裟なと思ったのだが、よく見れば「ロック雑誌」ではなく「ロック週刊誌」と書いてある。イギリスのNewsstandというサイトで買えるロック関係の雑誌リストには22種類の雑誌が掲載されているが、このうち週刊誌はKERRANG!だけだ。週刊誌は1冊しかないのだから、確かに「世界で最も売れている」ことに間違いはなさそうだ

*5:これは褒め言葉です

*6:明らかに最近の写真だから、東京ドームの翌日あたりに撮ったのだろう

*7:アイドルと言っても、イギリスのアイドルバンドのこと

*8:上の写真は、BABYMETALが最初にMetal Hammerの表紙になった273号のときの、Metal Hammer編集室だ。真ん中で雑誌を持っているのが、前編集長のAxexander Milas、その右側で座っているのが新編集長

*9:281号を除く平均発行部数が、20000部以下に落ち込まなければ(2015年は20961部)、新編集長の勝ちにしてやろう。18000部を割り込めば君の負けだ

*10:だから、「ついにKERRANGの表紙になった」などと雀躍歓喜するほどのことはない

*11:でも、早い方がいいね。ミュージシャンは見飽きたから、今度はTom Bradyとの記念写真はどうだろう。早くしないと、彼が引退してしまう