山本彩・ザ・ロックンローラー

このブログでは、ときどき予想をするのだが、外れることが多い。例えば、「The Queen of Rockのライバル」では、BABYMETALがグラミー賞を取るだろうと断言したが、全く掠りもせずに外れた。だが、今回ばかりは大当たりだ。

山本彩のことだ。先日、Zepp Nambaで彼女のライブを観たのだ。


2017年2月の「ユリイカ!」という記事で、私は興奮ぎみに次のように書いたのだが。

「素晴らしきロックンロール。ロックンロールはこうあるべきなのだ。エレキギターを抱えた立ち姿が決まっている。時々、観客に愛想を振りまきながら、鼻歌のように歌うが、リズムは決してはずさない。体を左右にゆする動きとピックの上下が、彼女のリズム感の秀逸さを物語る。時折、弦を抑える左手を目の端で捉えるときの匂い立つような美しさ。そして、何よりも魅惑的な声。

『声良し、顔良し、姿良し』というのは、全てを兼ね備えた歌舞伎役者に対する賞賛の言葉だ。彼女には、それが相応しい。ロックバンドのフロントウーマンに必要な全てを、最高の水準で持っている。

その彼女が、何故、自分のバンドを持っていないのだ?」

これは、2014年の夏に彼女がAKB48の余興かなにかの中で、「僕らのユリイカ」をエレキギターを抱えて歌っている動画を観た感想だ。とても驚いた*1。日本にこんなのがいたなんて。全く形態は違うが、BABYMETALのリードシンガーに匹敵するのがもう一人いたのだ。


その記事を書いてからから2年、実際の演奏の時点からは5年経った。それは凄いものだった。

2年前、ファーストアルバムの発売に併せたツアーにあたり、亀田プロデューサーが彼女に強力なバックバンドをつけた。だが、いまや山本彩はそのバンドを完全に支配していた。それぞれのプレーヤーが彼女に演奏を捧げることを無常の喜びとしているように見える。

バックバンドが優れていればいるほど、フロントマンの力量が問われる。秀でたリードシンガーは、バンドの力を引き出すことが出来る。山本彩のカリスマはバンドの可能性を極限まで高め、それに乗せられて、彼女はさらに高見に登る。

山本彩ロックンローラーだ。


遅くとも2年の後、山本彩は日本のロック界に君臨しているだろう。だが、それは端緒に過ぎない。日本でも世界でもロックは沈滞している。それを再興するのが彼女に課された使命だ。

山本さん、先は長いけど、その方がいいんだろう?

*1:「姉ちゃん、あんたそれだけの才能を持ちながら、アイドルなんかやってる場合では無いやろう」という気持ち