天才がオンリーワンを保証する

武道館のライブ盤を聞いていて、やはりBABYMETALは中元すず香のためのバンドだと再確認している。

何がすごいかと言うと、誰もが認める圧倒的な高音の伸びは別にして、天才的なリズム感。

DDM(こういう省略は嫌いなのだが、BABYMETALの曲名に対してはたしかに便利)は好きではなかったのだが、ライブ盤を聞いてYouTubeでは分からなかった彼女のリズム感に驚かさせた。シンコペーションが続くラップみたいな部分(何を言っているか分からないが、「超すごい」の後に続く部分)。オンビートからオフビートに変わるところがとても難しいはずなのだが、何の苦もなく自然に歌っている。全く意識さえしていない。

振付師が彼女のダンスは天才的だと評しているそうだが、おそらく同じことを言っているのだろう。どんなに速い変わったリズムでも自然に表現できる。絶対音感という言葉があるが、彼女の場合は「絶対的リズム感」か。

そういう観点から聴きなおしてみると、至るところにリズム感の秀逸さが出ていることに気がついた。

例えばIDZの中盤、インストルメンタルパートが終わって「涙みせずに」と歌いはじめる部分。最初の4小節はドラムもベースも演奏していないのだが(かすかにピアノが聴こえる)、5小節目からバックバンドが追随し始めても彼女の歌のリズムには全く変化がない。単にテンポが変わらないのではなく、彼女はリズムセクション無しで、パワーメタルのノリを表現していたのだ。

彼女の歌はビブラートを使わないストレートな歌唱法に聴こえるのだが、実際にはパワーメタルの速いリズムに正確にのせるという難しい技術を使っていたわけだ(それも本人は何気なくやっている)。

J-POPとメタルとの融合だとか、アイドルとメタルの融合だとか様々に表現されていても、それが可能なのは中元すず香という天才があってこそ。

それ故に、BABYMETALは唯一無二の存在でありつづける。