日本共産党の危機

総選挙の結果がどうのという話ではない。

橋下徹が書紀局長の小池晃に、志位委員長の退陣を勧めていた。議席減の責任を取って、この際「世代交代」をした方が良いというものだ。嫌味という感じではなく、野党が役割を果たすためにも若返りをして、もう少し力を持ってほしい、というエールのような言葉とも受け取れた。

だが、今の共産党に世代交代ができるのか、それは難しいのではないか。

と言うのも、選挙期間中に共産党の支持者によるビラ配りに何度か出くわしたからだ。ビラを配っている人は皆、私よりかなり年配でおそらく70歳を越えているように思った。拡声器でしゃべっている人も、元気一杯とは到底言えないおじいさんだった。それぞれ、昔は元気な活動家だったのだろう。そう思うと、私は日本共産党の支持者ではないが、一抹の寂しさを感じた。

たぶん志位和夫も、世代交代が必要なことは百も承知なのだ。

梅雨のけだるさには濱口祐自がよく似合う

梅雨の時期はけだるさを感じることが多い。おまけに、昨日はCOVID-19のワクチンの2回目接種を受けたので、左肩にも筋肉痛のような痛みがある。

最近は、Raspberry Piに付けたDACボードから旧式のステレオセットにつないで、スピーカーから音を出している。かなり良い音がするので、生ギターの音色がとても綺麗に聴こえる。私の持っている音源でアコーステックギターが映えるブルースは、Lightnin' Hopkins や Clapton の Unplugged などだが、日本人では濱口祐自がいい。「Yuji Hamaguchi from Katsuura」はこの時期にぴったりだ。

濱口祐自という人はとても変わった人で、教員免許を持っているのに教職にはつかずマグロ船に乗っていた。船を降りると今度は生まれ故郷の那智勝浦でバーを開き、夜通し仲間と酒三昧。酒の席では得意のギターを披露していたのだが、あるときYoutubeにあげた彼の演奏を聴いたプロデューサーがその腕前に惚れ込んで、メジャーデビューとなった。

ところが、そのデビューのときになんと還暦を過ぎるかという歳だったので、超絶技巧のブルースギタリストが勝浦で「発見」されたと、ブルース界隈でいっとき話題になった。

From Katsuura ダイジェスト

濱口祐自には物欲がない。家も持っていなので祭りの道具小屋に住んでいる*1。唯一持っているのは自分で改造した安物のギター*2と大好きな音楽の音源だけ。生活費が底をつくと、街に出かけていってギター一本で必要なだけを稼ぐ。大阪辺りなら軽トラで出かけてしまう*3*4

ところで、このアルバムはブルースの範疇に入れられているが、純粋にブルースかというとちょっと違う。濱口祐自はブルースを愛しているが、ブルースだけを愛しているわけではない。彼の生き方と同様、音楽にもこだわりがない。だから、From Katuura をブルースアルバムとして聴くとものたりないと思う人も多いようだ。

勝浦をアメリカ合衆国のディープ・サウスに例えて煽った宣伝のためか、デルタブルースを期待するからだろう。だれもサティのグノシエンヌをブルースだとは思わない。しかし、濱口が使っているのは最上級のブルースギターテクニック。一度こだわりを捨て去れば、珠玉の音の流れに身を委ねることができる。

このアルバムは彼の人生だ。勝浦という遠洋漁業の基地でもある田舎町の風土なのだ。日当たりの良い内海の漁港にふきそよぐ心地よい風なのだ*5

*1:数年前の情報なのでいまはどうか分からない

*2:上の動画に出てくるようにそういうギターがいっぱいある

*3:「ギター一本」はただの比喩で、実際には何本も使う。ドブロも使うし(濱口のドブロは他に聴いたことがないほどの絶品)、とても凝ったチューニングもするらしい

*4:関西ローカルのテレビ番組に濱口祐自が突然、出てきたことがある。ロケに行った落語家は単なるおもろいおっさんとして接していたが、スタジオにいた円広志だけは「この人は凄い人なんやで」と言っていた。円広志もやはりミュージシャンだ

*5:実際には、勝浦のどこかにある狭い入江の漁港は、この時期はとても蒸し暑いのだろうけど、濱口のギターを聴いていると、とても涼しいと思ってしまう