本・小説

北小路健「古文書の面白さ」

古書を買う面白さのひとつは、偶に当初の目論見とは違った掘り出し物に出会うことだ。ここで紹介する「古文書の面白さ」がまさにそうだった。この本のタイトルを見たら、この本が古文書の読み方についての入門書であるように思う人が多いのではないだろうか…

「江戸御留守居役―近世の外交官」

何の脈絡もなく書評(のようなもの)を始める。著者:笠谷和比古 出版:吉川弘文館この本は、国史大辞典で知られる吉川弘文館の歴史文化ライブラリーの1冊である。著者は、執筆当時は日文研の教授だったらしい。京大文学部の出身だということで、梅原猛人脈…

馬に関する誤訳

この記事は、書いてから半年ほどたってから間違いに気づいた。菊池光は、stallionを「繁殖牡馬」と誤訳したのではなく、broodmareを「種牝馬」と訳してしまったのだった。そのため、一部修正した(2015-09-29)数日前、BABYMETALの新曲の振り付けに対する考…

甲子夜話

本町の天牛堺書店で、甲子夜話続篇の7巻を見つけた。780円均一。即断で買う。これで続篇は8巻を残すだけとなった。東洋文庫の甲子夜話は1冊3000円以上する。三篇まで揃えると全20冊になるので、1冊1000円を目安にして古本で買うことにしている。3年越しにな…

村上春樹は偉い

村上春樹は偉大な作家だと思う。そう思うのは、逆説的なのだが、「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」というエッセイを、全く面白いと感じなかったからだ。エッセイが決して不出来なわけではない。最初にこれを読んだら面白いと思う。ところが私は最初に…

ロジャ・メイチン氏のその後(その2)

その1前の記事で述べたように、ロジャ・メイチン氏は2002年7月21日に亡くなっている。消息を追っていくうち、彼が日本翻訳者協会(Japan Association of Translators)という団体に所属していたことが分かった。2001年にメイチン氏がJATの会報に「Notae Phi…

ロジャ・メイチン氏のその後

その2(今までメイチン氏の名前を「ロジャー」と表記していたが、「ロジャ」に改めた。本人が自著で「ろじゃめいちん」と表記しているためである)竹内街道を歩く計画があって、司馬遼太郎の「街道をゆく」第1巻を読んだ。ロジャ・メイチンという英国人の…

キャッチャー・イン・ザ・ライ

村上春樹訳のキャッチャー・イン・ザ・ライを読んだ。こんな話だったのか?全く何も覚えていなかった。野崎孝訳の方が良いという話も聞くが、雰囲気がずいぶん違っている。昔はわくわくしたのだが、やっぱり10代で読む小説なのか。そもそも万城目のホルモー…

村上春樹とチャンドラー

村上春樹訳「ロング・グッドバイ」を読んだ。後書きに村上が書いている。「チャンドラーはなぜそのような手法をとったのか?目的はただひとつ、彼自身の語るべきフィクションを、より自発的で、よりカラフルで、より説得力のある物語として立ち上がらせるた…

1Q84

1Q84を読んだ。久しぶりにワクワクした。ストーリーは昔読んだSFマガジンを思わせる。それでも不思議と違和感は無い。文章が良い。簡潔で分かりやすいが、それ以上のものを感じる。

居眠り磐音

四五巻前から、どうもいかん。粗が目についてしまう。私の方の気持ちの問題かも知れないが。

万城目学

娘が大学に入って、京都に行く機会が増えたこともあり、ホルモーを2冊読んだ。鬼はご愛嬌だが、文章がうまい。The Catcher in the Rye を思い出した。

葉室麟

葉室麟が面白いと云われて「秋月記」を読んだ。藤沢周平を意識しているのが分かる。近世物を書く作家なら、藤沢周平みたいに書きたいと思うのは当然ではあるが。面白いが、まだ藤沢周平ではない。直木賞のは、どうかな。

甲子夜話

甲子夜話の2と6に加えて続編1を古本屋で見つけた。1を読み終わろうとしていた矢先で、つい買ってしまった。1冊800円は少し高いのだが。

居眠り磐音江戸双紙

最近、表題の物語にはまっている。作者のストーリーテラー振りには感心させられるばかりだが、やはり忙し過ぎるのであろう、細かい矛盾が時々出現する。それは基本的には編集者の責任に帰するべきだが、歴史認識に関わることで気になることがあったので、記…