ヘッドラインの用意は出来たか?

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Rob Zombieが、ヘイターからBABYMETALを護ったと話題になった。上の写真を彼が投稿したところ、彼のファンが何人も文句をつけた。それに対して、「彼女たちは、あんたより頑張ってるよ」とか「一緒にやったバンドの大半より、彼女たちの方がエネルギーがある」などと言い返したのだ。

彼は、後のインタビュー*1で次のようにも述べている。「あの時は、初めて彼女たちに会ったんだ。ビデオなんかでは観たことはあったが、ライブを観たのはあの時が初めてだった。惚れたよ。あんなものは今まで観たことがない。そうだな、デスメタルを可愛くするなら日本人に任せろという感じかな。観客も完全にイカれてた。クラウドサーフィンもステージダイビング*2もそこら中で、それは大騒ぎだった。ステージで空手をやっているのが3人の小さな可愛い女の子で、(バックをやってる)男どもは、お化けみたいに白装束なんだから、めちゃくちゃ面白かった。あれはとんでもなく奇想天外で、本当に見る価値がある。とても良かった」。

さすが映画監督らしいコメントだ。BABYMETALを相当、気に入っているようだ。だが、彼はそれだけの理由で言ったのだろうか。私は、別の理由もあったのではないかと思う。それと言うのも、彼はCarolina Rebellionでは、その日のコ・ヘッドライナー*3で、Northern Invasionでも、BABYMETALと同じ日のヘッドライナーだったのだ。

ヘッドライナーというのは、いわば座長だから、他の出演者は彼のゲストのようなものだ。だから、ヘッドライナーには他の出演者*4を守る義務がある。出演バンドに対してヘッドライナーとしての感想を聞かれた場合には、彼なりの見方で答えなければならない。もちろん、否定的なコメントは許されない。それが、ヘッドライナーの責任であり、フェスティバルの運営というものだ。実際、サードステージのヘッドライナーであるLamb of Godも、BABYMETALを擁護する発言をしているし、メインのもうひとつのコ・ヘッドライナーであるDisturbedのDavid Draimanも、BABYMETALのライブを観に来ていた。

Summer Sonic Osaka

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何故、ここでヘッドライナーの責任を持ち出したのか。それは、BABYMETALとヘッドライナーという組み合わせが、そろそろ非現実的では無くなってきたからだ。

ちょうどそういう所に、仕組まれていたかのように、Summer Sonic Osakaのラインナップが発表された。BABYMETALが、サードステージ(ソニックステージ)ではあるが、ヘッドラインすることになったのである。

ただ、このラインアップはたいへん評判が悪い。このサードステージは舞洲アリーナというアリーナで、収容人員が7000人にとどまる。だから、このステージが、最初のアクトからBABYMETAL観たさのファンで埋まることは確実で、多くの人はBABYMETALを観ることができない*5。ポスターでBABYMETALの表記を間違えていることもあり、世間では、BABYMETAL嫌いな主催者が意地悪をしているのではないかとまで言われている。

だが、この見方は観客側からの見方である。行ったことのない人には分からないかも知れないが、8月21日の晴れた日の大阪湾岸などというものは、およそ人間の行けるところではない。暑いうえに落雷の危険もある。おまけに今年はラニーニャが予想されている。もし、BABYMETALがオーシャンステージかマウンテンステージに出るとすれば、出演時刻は午後の3時から5時ぐらいになるだろう。そんな時間に、そんな場所で、黒ずくめの衣装で歌って踊るとなると、熱中症は免れない。舞洲アリーナなら室内だから直射日光が当たらないうえ、冷房完備である*6。彼女たちの命を守るためには、これしか無いとも言えるのだ。

最も大事なのは、BABYMETALがヘッドライナーとして迎える他の出演者である。最近、私は、もちろんBABYMETALが目的なのだが、TeamRockサイトやKerrangサイトを見ることが多い。そのため、知らず知らずのうちに、いろいろなバンド名が頭に残る。ソニックステージには、そんなバンドが集まっているのである。言葉を変えて言えば、旬のバンドということになろう。Andy Blackの本来のバンドであるBlack Vail Bridesは、BABYMETALと共にKerrang! AwardsのBest Live Bandにノミネートされている。PVRISは、「BABYMETALとヨーク大学」で紹介した記事で、BABYMETALと共に、将来のロック界を担うべきバンドとしてあげられている。おそらく、ソニックステージの出演者のいくつかは、将来のロックフェスティバルの主力になるだろう。

このラインナップは世間で非難されているようなものではなく、BABYMETALをとても評価したラインナップと言える。BABYMETALのファンであるメタルヘッズたちは、最初からソニックステージに陣取ったとしても十分に楽しめることだろう*7

今までと違って、ヘッドライナーであるBABYMETALにとっては、自分のセットだけでなく、ソニックステージ全体が彼女たちのステージになる。それだけの名誉と責任を負うわけだ。参加するBABYMETALファンの方々には、他のバンドのセットも盛り上げて、最高のステージを作って頂きたい。それが、メインステージのヘッドライナーへの道に繋がって行くのだから。

*1:おそらく、Nothern Invasionのとき。写真を撮ったのは、Carolina Rebellion

*2:これはやってない。話の流れで言っただけだろう

*3:Carolina Rebellionでは、メインステージらしきものがふたつあった

*4:たとえ、あまり好みでないバンドだとしても

*5:私も、高速を使えば舞洲まで30分ぐらいで行けるから、今年ぐらい行こうかと思ったのだが、これではとてもダメだと諦めた

*6:観客の熱気のために、あまり冷房効果がないだろうが

*7:体力が続けば