Metal Hammerの復活
Metal Hammerが復活する。いや、既にしてしまった。1月9日の段階で、Metal Hammer 292号が店頭に並んだようだ。
ほとんど狐に鼻をつままれたような気分だ。それと言うのも、昨年末に倒産したTeamRockの所有する資産*1を、Classic RockとMetal Hammerの前オーナーであるFuture Publishingが、たった80万ポンド*2で買い戻すことが、The Guardianのサイトで報道されたのが現地時間1月8日のこと。それが、翌日にはMetal Hammerの2月号が出るというこの素早さ。あまりにも手回しが良すぎるので、計画倒産かとさえ思ってしまう。
Future Publishingにすれば、2013年にTeamRockに売却した価格が1020万ポンド*3だから、1割以下の価格で買い戻したことになる。しかし、前の記事で紹介したように1年に10億円近い赤字が出ているので、80万ポンドというのも妥当な価格ではある。
冒頭の画像は、TeamRockサイト*4に掲載された、「Classic Rock、Metal Hammer、Progは、前のオーナーの介入により救われた」という発表に付されているものである。3誌併せて12冊の表紙が載っているが、そのひとつがBABYMETALの281号である。
ささやかなお祝いのつもりで、出たばかりの292号に掲載された、Live at WembleyのCDのレビュー記事を紹介する。
BABYMETAL Live at Wembley
Eleanor Goodman
狐神の使者が、イギリスでの大勝利を再現する
「Metal Resistanceの時が来た、BABYMETALと共に、メタル、メタル、メタル、メタル...」。そして、スターウォーズ風のドラマチックな語りが終わり、BABYMETAL DEATHのドラムの炸裂が空隙を破ると、聴衆が叫び始める。Live at Wembleyは、彼女たちがこの4月に行った、彼女たちにとってイギリスにおける最大のライブの忠実なレコーディングなのだが、それはひとつの歴史の証拠でもある ー 彼女たちは、この会場を征服した最初の日本バンドなのだ。だが、それだけではない。この鬱陶しい冬の盛りに待ち望まれる、希望に満ちたエネルギーの爆発だ。ここにある曲には紛れもない生命がある。Awadame Feverのバブルガムな歌詞に溢れる泡、秒読みたいなKARATEのコーラス、拳を振り上げたくなるようなMegitsuneの旋律。これらは全て、アリーナを制圧するために書かれたものだ。音は常軌を逸するように飽くまでも大きく、神バンドのメタルリフとソロは、彼女たちの明るい声を巧みに織り上げる。文句をつけるなら、曲間の苛立たしい空白と、セットが17曲から13曲にカットされたことだけだろう。外されたのは、いずれも同名タイトルのファーストアルバムの曲だ。このことから、Babymetalが狐神の示唆する未来に向かって、ひたすら前進することに注力していることは明らかだ。しかし、これは些細なあら探しだ。Babymetalは真の現象なのだ。Wembleyは始まりに過ぎない。